日本女子ジャンプの課題
2013-02-01


高梨沙羅の活躍、素晴らしい。取材で高梨選手を囲んで話を聞くとき出てくる質問が「今の課題は?」というもの。応えはだいたいAつ。1つはアプローチ。「きちんとしたポジョションに乗れていない、自分のポジョションにしっかり乗れるように確認したい」というもの。そして、もうひとつがテレマーク。飛型点に大きく影響する着地姿勢を確実に決めたいというもの。◆ジャンプはスキー競技。上手に滑ることが大切。アプローチも着地も、きちんとできなければ好結果は得られない。高梨は、アプローチもテレーマクも決して下手な訳ではない。なんせ、目下世界ナンバーワンの選手だ。ただ、高梨ほどの飛距離が出ると、着地の難易度があがる。飛行曲線とも関係するだろう。◆先日、世界ジュニアの試合原稿を成績表だけを見て書いた。「2回目は最長不倒の102メートル、テレマークは入りませんでしたが、圧勝、世界ジュニア個人2連覇です」として提出すると、「テレマーク入っていますよ」とチェックが入った。本人談話もテレマークを入れたとあるし、画像を見ると左右の足を前後にし、両手を広げている。すぐに原稿を直した。◆帰国した高梨選手は「テレマークを入れていない点数になっていた。ジャッジにテレマークを入れたことがきちっと分かってもらえるようにしていかないといけない」とも話した。点数だけを見て、テレマークが入らなかったと思った私の勘違いはジャッジの点の付け方に影響されていたのだ。◆しかし、日本女子ジャンプの課題は、沙羅のテレマークではない。日本は集団で戦えていない。日本男子陣が世界の頂点にあったとき、フロントランナーは一人ではなかった。葛西、原田、斎藤、船木、岡部、宮平・・・。いついかなるときも飛べる訳ではない。どの試合もどのシーズンも一人の選手が常にトップにいた訳ではない。そんなジャンプ競技で日本が世界の頂点に上がっていたのは誰かが不調でも、誰かが上位にくるといった状況があったからだ。◆ツールドフランスのような自転車競技では、先頭は交代しながら進んでいく。常にフロントローを走りつづけていてはもたない。伊藤有希か、渡瀬あゆみなのか、葛西賀子、小浅星子、平山、茂野。ケガで戦列を離れている山田、岩渕・・・沙羅の前に出て行く選手を育てなければならない。ジャンプでは向かい風が有利なのだが、それでもたったひとりで強風にさらされ続けていくわけにはいかないだろう。
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