2020-12-14
12月11日に発表された札幌で行われる東京五輪マラソンのテストイベント(2021年5月5日)について、その2です。
実に工夫、考えられたテスト大会だなというのが私の第一印象です。
2019年秋、従来の予定では大会まで10ヶ月を切って突然、降って湧いた会場変更。常識では対応不可能とみられたミッションは実現可能な形になりました。その過程で重点をおかれた要素の1つが変更を受け入れる地元へのインパクト(負荷衝撃)を最小限にする点だったように見受けられます。
その1つが五輪での占有する施設、エリアです。例えば大通公園。コロナ禍が訪れる前の段階ですが「市民からビール祭りを奪うのか」という声がありましたが五輪マラソン競歩の受け入れで「お借りする」のは大通西2丁目、西3丁目、西4丁目の3ブロック(それでも多いという声もありましょうが…)。さっぽろテレビ塔の立つ西1丁目や西5丁目より西側には及ばずビアガーデンも共存できる計画となりました。
※2ヶ月程度前からと見られていた大通公園休止期間は4丁目に限っては2021年4月から8月末、2丁目、3丁目は5月から9月末となった(2020年12月)。
テスト大会もフルマラソンではなく、ハーフマラソンと10キロとに分けています。フルマラソンともなればスタート前も合わせて半日、生活時間であればほぼ1日は札幌中心部を閉鎖させてしまうことになりかねません。官公庁やオフィス分野にとっては非営業日のゴールデンウイーク中といえども都市をスポーツイベントが占めるというのは難しいお願いなのだと思います。
半分で済ませるというのは「地元への影響を最小限に」する1つでもあるように感じます。ただし、北海道大学南門を出た先をフィニッシュする五輪コースの中間点までだと実際のテストには足りない部分が生じます。
北海道庁から北3条広場、そしてフィニッシュエリアについては競技運営上、可能な限り重点的に「テスト」すべきところのはずです。特に道庁東門(正門)から北3条広場、大通の北側の駅前通は北海道マラソンでの運用実績のないパートです。
本来なら道庁を通過して駅前通を走り周回を重ねる運用もして32キロ、周回テストはともかく少なくとも五輪のフィニッシュ地点の22キロまでとしたいところだったのではないでしょうか。
そこで10キロの部を組み合わせることで、南大通から創成川通へ左折する運用やレース終盤の北海道大学南門から北海道庁、北3条広場を経て駅前通から大通公園のフィニッシュの運用テストも行えるわけです。しかも部門を2つに分けることによってイベント全体の所要時間もコンパクトにすることが可能です。
さらに「コロナ禍で市民2,500人参加のイベントができるのか」と批判的な指摘も受けそうな参加者数についてですが、10キロの部が2周目以降をテストする狙いであるとした場合、レースの先頭から脱落した選手までの幅を想定することも必要です。所要時間の短い10キロ走で3周目の実証テストをするとなると人数によって先頭から最終ランナーまでの幅をつくりだすのはシミュレーションの確度を上げる有効な方法だと思います。
同時にオリンピックやテストイベントが一部の人たちだけのものではなく、会場を受け入れた北海道、札幌市はじめ多くの人たちの参加、応援する形をつくることも視野に入れているではないでしょうか。
またハーフマラソンの部の参加者がトップ選手80人というのは五輪の出場枠を想定したものでしょう。スタート時のオペレーションや大通公園周回のコーナーの密集度合い、1度しか通過しないコース南部の通過状況、コース全体を掌握するという点でも適正なサンプル数としての設定と考えられます。
市民ランナーの心情としては10キロよりもより長いハーフへの参加を望む声もあるとは思いますが北海道マラソンと異なるスタート形態となる五輪コースの場合、テスト大会の性格上、五輪出場選手数を超える運用は難しいように感じます。
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